去る8月9日、台風接近の中ではありましたが、かねてより私が取り組む政治活動の一環である冤罪撲滅に直結する、兵庫県弁護士会の「取調べの可視化を求める市民集会」に参加して参りました。
以前から自民党兵庫県議会との友好団体の集いにおいても、可視化について要望される方々も多く、講演後、兵庫県弁護士会会長の武本先生をはじめ、顔馴染みの弁護士である森津先生他とも意見交換させて頂きました。
今回の講師は、あの「袴田事件」の袴田巌氏のお姉さんである袴田秀子さんでした。私が生まれるまだその前に起こった事件で、48年もの間拘置され、死刑判決を受けたその心中は、言葉に表わしようもないとんでもない事であることは誰でもお分かりになると思います。
この事件は再審になりましたが、それはあくまで司法のメンツのために行われていると、関係者からも言われる有り様です。これ以上は司法の正義にあまりにも反すると裁判官に言わしめるほど杜撰な捜査と証拠、そして警察、検察、裁判官の言われなき不当な扱いへの袴田秀子さんの無念の想いは、想像するに余りあるものです。同様の苦しみを体験し死に至った亡き母のことを思い、私も司法への憎しみが抑えきれない衝動にかられました。
まさに激動の48年間のご経験は、身につまされるほどあまりにえげつない、これが司法のやれる事かと耳を疑いたくなる内容でしたが、実体験からの講演には静かな、しかしはっきりとした怒りと司法の清浄化への熱い思いを感じました。
講演の後、担当された小川弁護士を交えて袴田秀子さんと特別に懇談の機会を頂戴しました。このことは、また県政報告の中でもご報告してまいりますが、弁護士会が推進する「全部可視化」が、今、直ぐに施行される事を強く願います。
そして、司法記者クラブがありながら、先進国の中でも最もシステムとして遅れている我が国の、杜撰な捜査方法や異常な証拠採用の実態について、なぜ記事にしないのか?
地方議員の不祥事は全世界レベルで拡散させ、これでもかと吊るし上げる一方で、警察や検察が引き起こした冤罪事件において、なぜ起訴した検事や取り調べを行った刑事の実名公表をもって記事にしないのか?
そしてまた、冤罪被害者にとって有利な情報は、なぜもっと大きく取り上げられないのか?
冤罪撲滅には「取り調べの可視化」もさる事ながら、おかしなものをおかしいと感じ記事にして行くメディアの協力も必要不可欠という共通認識を、袴田秀子さんと共有できた講演でした。
※「袴田事件」については、下記のページに詳しいので、ぜひ参照ください。
なお、上記のページの最後部分にアメリカのテキサス州の「CIU」という組織のことが出てきます。有罪が確定した人から無実の訴えがあると再調査する機関です。こうした仕組みを日本にも導入すること、併せて、司法に対する刑事罰の確立、さらに大きな疑問を感じているところの司法取引制度についても、今後、情報を共有しながら発信していきたいと思います。