北川やすとし 兵庫県議会議員 六期

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活動リポート

2017.12.29

【対談】えん罪の救済積み重ね、司法改革を

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●笹倉香奈甲南大学法学部教授と意見交換

2016年4月、無実の罪に問われた 「えん罪」事件の被害者を救う 「えん罪救済 センター (日本版イノセンス・プロジェクト)」を立ち上げた、甲南大学法学部法学科の笹倉香奈教授。同プロジェクトは1992年、米国ニューヨーク州で始まった活動で、えん罪が疑われる事件をDNA鑑定などで再検証し、この25年を経てえん罪被害者を救ってきました。日本のえん罪撲減のためにどう取り組んでいくべきかについて、笹倉教授と意見交換しました。

<笹倉香奈(ささくら・なな)教授プロフィール>
甲南大学法学部教授
東京大学法学部卒、一橋大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。大学では主に刑事訴訟法などの授業を担当する。2011年9月から米国のワシントン大学ロースクールに客員研究員として留学した際、イノセンス・プロジェクトの活動に参加、日本への導入のきっかけとなった。

「取り調べ可視化は対象拡大を」

北川:
えん罪被害に巻き込まれると自らが警察検察を相手に戦わねばならず、理解者も得られにくく孤立無援になる。そうした被害者を支援する救済センターの発足はいちえん罪被害者としてありがたく思います。また、米国の進歩した司法制度を例に、国際私法の立場から日本の司法の問題点を取り上げていく必要もあるのではないでしょうか。

笹倉教授:
米国などでの先進的な取り組みが日本に紹介され、一定のインパクトを与えていると思います。もちろん日本の司法制度を変えるには、やはり日本国内での国民の関心の高まりや専門家による議論の積み重ねが重要になります。

北川:
えん罪を防ぐには捜査機関による取り調べの可視化が不可欠で、日本では2016年5月2取り調べの全過程の録画を義務付ける改正刑事訴訟法が成立しましたが、裁判員裁判対象事件と検察独自捜査事件のみに限られ(全事件の3%未満)、逮捕されていない被疑者を含む全件が対象とはなっていません。

笹倉教授:
弁護士などによる長年の地道な努力で、改正刑事訴訟法が成立したことは、小さな一歩かもしれないが大きな功績です。米国のイノセンス・プロジェクトは発足から25年が経ちます。 日本では、以前は当番弁護士制度(逮捕後の面会を一回無料で行うという、弁護士会のボランティア活動)さえ行き渡っておらず、可視化なんてとんでもなかったが、少しずつ変わってきました。日本の司法制度も25年経てば変わると思います。

「自民党議員としてえん罪被害に支援を」

北川:
ネットや SNS で情報が溢れる中、現在の司法制度に疑義を唱える声も広がっています。なぜえん罪が生まれるのかの仕組みや、行き過ぎた捜査手法などを発信し、国民に周知していかなければなりませんが、主要メディアでは司法のグレーゾーンを大々的に報じるケースは稀です。そうした現状で、司法制度の改革をさらに加速させるにはどうすべきでしょうか。

笹倉教授:
声を上げ続けることが大切です。希望を捨てたら終わりです。制度改革には政治の力が重要で、議員が司法の問題点を学べる場作りが必要ではないでしょうか。会派を越えて勉強会を開催したり、ホームページで公開して訴えていくというやり方に興味を持つ人は相当いるのではないでしょうか。

北川:
私自身、司法改革に議員としてどう関与して行けば良いのか迷いがある。議会を活用すべきだが、さまざまな制約があって問題点に踏み込めずジレンマを抱えています。

笹倉教授:
関西でも、えん罪被害で戦っている事件は多くあります。ひとりの議員として、こうした事件に支援をいただければありがたいと思っています。
国政における与党である自民党の議員がえん罪被害に関心を向け、他の支援者とともに街頭に立って協力を呼びかけたり、自らの経験を講演などで多くの人に訴えたりすると大きな力と共感力が得られるかもしれません。是非、えん罪が起こっている現場で政治家としての影響力を発揮してください。何かを変えられると信じて一つ一つのことに取り組んでいくしかないと。個別の事件で『事実』を積み重ねていくしかないと思います。

投稿者:北川 やすとし


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