※この記事は「兵庫県議会議員北川やすとし県政報告」平成26年1月号より転載したものです。
【取り調べの可視化実現へ共に〜鈴木兵庫県弁護士会会長と意見交換】
北川やすとし県議は、先般、兵庫県弁護士会の鈴木尉久会長と、警察の捜査段階における取り調べの可視化の実現に向けて対談、課題やこれからの取り組みについて意見を交わしました。
「密室で供述と食い違う調書に(北川県議)」X「ゆがみを可視化でまっすぐに(鈴木会長)」
北川:母のケースでは、密室で取り調べられて、供述と食い違う調書がつくられました。母は「可視化を進めてほしい」と言い残しました。パソコン遠隔操作事件、村木厚労省元局長事件や古くは戦前から冤罪事例があるにもかかわらず、いまだに実現していません。可視化の実現で、こうしたことが大部分は防げると思います。
会長:弁護士会として個別のケースにはお答えできかねるのですが、密室で調べが行われて調書にサインさせられる。このような調書は本来証拠として信頼できる訳がありませんが、刑事事件の場合、裁判官は有効と言う。裁判官の考え方がおかしいと思いますし、誘導した検察、それを助長してきた警察もおかしいんです。このゆがみを可視化でまっすぐにしないといけません。
北川:誰でも分かることでありながら実現していないのは、どこに問題があるのでしょうか。
会長:国民の「人ごとだ」「捕まえられるのは悪い人だ」という意識は根深いものがあります。我が身にふりかからないと、この問題の危険性は分からないと思います。警察側から言えば、権力があればあるほどいい訳ですし、警察が自らの行為を処罰することはないんです。
北川:理不尽です。
会長:ですから、先生のような政治家がもっと増えて、この問題に理解のある先生方に力になっていただきたいんです。
「政治家のリードで世論形成を(鈴木会長)」X「弁護士会の応援にも期待(北川県議)」
北川:すべてが可視化で解決できるとは思っていませんが、警察は間違いがあれば、謝り、訂正すればいいのではないでしょうか。
会長:間違えて退くようでしたら冤罪はありません。警察に“間違い”はないんです。有罪の証拠だけを集めて無罪の証拠は集めない。はじめに見込みをつくり、見込み通りの自白を強要していくという古い体質が続いてきています。現代社会に通用しないですね。
北川:私もその体質はとても感じていますが、なぜ、改められないとお考えですか。
会長:可視化がないからです。可視化して、供述調書の証拠能力を消していくことです。すると“ブツ”としての証拠が何を物語っているのかを解析しないといけませんので、捜査がそこに集中していきます。人の証拠に偏りすぎているから事実を誤るんです。
北川:司法のおかしさがあっても、日本は変わらないのではないでしょうか。『弁護士が隣りにたたない調書はない』というのが国際司法のあり方です。外圧というか、そういうもので進めていくという考え方もありますが。
会長:法制審議会の中でも村木さんや周防さんがおっしゃっていることは、普通の国民の考え方ですよ。関心はまだ薄いですが、弁護士会でも出前講座やシンポジウムで根気強く訴えていきます。そして、政治家のリードできっちり理解していただくと、国民は応援団になっていただけると信じています。先生たちが正論を述べていただいて、世論を形成していただけたらと期待をしています。
北川:一地方議員として、今後もできる限りの活動はしていきますが、弁護士会の皆さんに私たち冤罪被害者の強い応援団になっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。