北川やすとし 兵庫県議会議員 六期

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活動リポート

2017.5.25

テロ等準備罪法案を通じて

syuugiin

昨今、テロ等準備罪に関しての報道を新聞紙上で毎日のように目にしますが、多くの方がこの内容に関し法案の是非や施行後の動向に不安を感じているのではないかと思います。

この法案は、3年後に開催される東京オリンピックに向け、今まで日本が国連の条約である【国際組織犯罪防止条約(略称:TOC条約、パレルモ条約)】に批准できていない事から、国際的な犯罪集団の情報など、緊密な情報交換が諸外国と取りづらい、その準備としてこの法案を成立させる必要がある、というのがその概要と理解しております。

この大義に関しては、私も理解しており法案成立には賛成しますが、同時に昨日のメディアでも報道されましたケナタッチ国連特別報告者の指摘は、毎年の様に是正を指摘されている令状主義に人権やプライバシーの保護の適切な仕組みを取り入れるよう議論されていることと重なる気がしてなりません。ちなみに、日本の司法は取調室という密室で冤罪が造られていき人権侵害をはじめ、警察検察にとって都合の悪い証拠・事実は隠匿するという体質を改めるよう、可視化他提言が続けられています。

すでに法案を通過した司法取引や通信傍受と合わせて、司法側にとって都合のよい解釈が出来るアクセルばかりが増え、それを制御する可視化を始めとしたブレーキが伴わないことに、日本の国際人権の感覚はやはり司法先進国に比べ著しく劣っていると感じております。

法務大臣ほか政府高官は、一般人はこの法案に対し当てはまらないといった発言をしていますが、発言をした皆様方が現場をしっかりと見て、把握してくれているのでしょうか。

テロ等準備罪の内容とは違うものの現場を仕切るのは従前通り刑事や検事であり、過去に多くの冤罪を発生させ今日に至っていますが、刑事訴訟法で可視化100%が望ましいという文面は出来たものの、その刑事事件での可視化実施率は約3%未満と、理想とはかけ離れた状況にあります。国際司法からの提言に対して逆行する状況が続く中、やはりブレーキが伴わないことを大いに危惧するところですが、今回、ケナッタチ氏のテロリズムや組織犯罪と無関係の者が含まれるといった指摘とその原点は同様かと考えます。

連日報道するメディアに関しても、テロ等準備罪の問題点を法務大臣をはじめとした政府高官の答弁の矛盾や隙間ばかりを取り上げるのではなく、村木厚子さんの凛の会事件やパソコンの遠隔操作を始めとした、数多くの冤罪に至るその事件のシステムを透過し、今の司法を客観的に制御するための仕組みが現実として圧倒的に不足している実態を報道で国民の皆さんに説明周知することこそが、今回の法案の準備不足分を補い、ケナタッチ氏をはじめ国連人権理事会や国際司法からの指摘に誠意をもって対応していく土壌を育む、そのような気がしてなりません。

この法案を立案し、答弁を作成しているおおもとが何処なのか。三権分立の観点からも、改めてこの法案設立を通して、今の日本の司法のあり方を見直す機会になるよう念じております。

願わくば冤罪で苦しみ、自死に追い込まれた亡母や冤罪にされた多くの一般国民の悲痛な叫びに耳を傾けていただき、多くの国民、法案設立に向けて動く政府の皆さんに、司法先進国の国際感覚から逸脱してる今の日本の司法の実態を今一度見つめ、不足しているものは何なのか、そこに焦点を合わせ、健全な議論を呼び起こすような報道がなされることを願っております。

投稿者:北川 やすとし


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